RESEARCH
みずまちづくり論・水インフラデザイン論
2017年度に新潟市潟環境研究所(当時)と共同で実施した「ラムサール条約都市・新潟構想研究」を契機として,現代における湿地の価値の再発見とそれらを生かした戦略的な地域デザインの方法を構築・実践していくことを目的として,主に新潟市北区と新発田市にまたがる福島潟地域の空間構造や水系基盤,市民活動に関する研究・実践活動に取り組んでいます.
これらの活動では,地域住民の方々をはじめとして,新潟県や新潟市の職員の方々,拠点施設である水の駅「ビュー福島潟」や土地改良区の職員の方々,福島潟地域に長く携わられてきた大熊孝先生(新潟大学名誉教授,河川工学・河川土木史)や佐々木葉先生(早稲田大学教授,景観論・土木デザイン),NPO法人新潟湿地都市研究所の方々にご協力いただいています.
また研究課題としては,(一財)水・地域イノベーション財団 研究助成「低平地における持続可能な水循環の構築に向けたスケーラブルな水インフラのデザインプログラムの提案」(2024.06-2026.03,研究代表者:佐々木 葉,研究分担者:小澤 広直)及び日本学術振興会 科学研究費 基盤研究(B)「地域水系基盤概念に基づく水インフラのデザイン手法構築と持続的水まちづくりへの展開」(2025.04-2028.03,研究代表者:佐々木 葉,研究分担者:小澤 広直ほか)に採択されています.
主な研究業績・関連リンク(クリックにて詳細表示)
- みずまちづくり研究体(旧・地域水系基盤研究会)[LINK]
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科研課題の研究代表者・研究分担者による研究ユニットです. - 日本の空間計画における湿地の位置付けと価値
-ラムサール条約登録湿地を有する地方自治体を対象として- -
小澤 広直|土木計画学研究・講演集,Vol.72,2025. - 景観計画における湿地の位置付けに関する基礎的研究
-ラムサール条約湿地自治体3都市を対象として- -
小澤 広直|土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.80,論文番号:IV-69,2025. - 現代の地域水系基盤を活かしたデザインプログラムの実践
-新潟県新発田市古太田川沿川集落を対象として- -
緒方 陸人,塩山 祈,小澤 広直,佐々木 葉|土木計画学研究・講演集,Vol.70,論文番号:35-04,2024. - 地方新聞・自治体広報紙にみる新潟県福島潟を取り巻く事象と人々の関心
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小澤 広直|土木計画学研究・講演集,Vol.70,論文番号:35-03,2024. - 低平地における農業用水路ネットワークとそれを支える揚排水施設の実態
-新潟県福島潟周辺を対象として-[LINK] -
シュ ユウジ,小澤 広直,佐々木 葉|土木計画学研究・講演集,Vol.66,論文番号:09-08,2022. - 新潟県福島潟周辺地域の水路網および集落の変遷と特徴[LINK]
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長澤 歩,桐原 涼,小澤 広直,佐々木 葉|土木計画学研究・講演集,Vol.66,論文番号:09-07,2022. - 地域の空間計画の一環としての湿地復元事例に学ぶ[LINK]
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シュ ユウジ,小澤 広直,佐々木 葉|土木計画学研究・講演集,Vol.62,論文番号:12-15,2020. - Information design for understanding the regional environment as a base of disaster awareness
-A case study of booklet design for a wetland environment-[LINK] -
Y. SASAKI, H. KOZAWA, T. WATANABE, K. YOSHIZAWA|Proceedings of CWMD International Conference, Article ID: UDP11, 2019. - 新潟市における潟をめぐる市民活動の特徴[LINK]
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佐々木 葉,安達 幸輝,外山 実咲,橋本 航征,渡邉 拓巳,小澤 広直|土木計画学研究・講演集,Vol.57,論文番号:21-04,2018.
近現代都市・地域デザイン史
近現代の土木構造物や都市・地域デザインについて,歴史的視点に基づく計画・デザイン思想の解明と今後の計画・デザイン手法に向けた知見の獲得を目的とした研究に取り組んでいます.
例えば,関西道路研究会「大阪市の市電事業で建設された橋梁図面の評価・活用研究会」との共同研究(2016〜2018年度)では,近代大阪の都市基盤形成の一翼を担った大阪市営電気軌道事業(市営路面電車の敷設事業)において建設された橋梁のデザインについて,当時の設計図面や統計資料をもとに,橋梁デザインの思想と特徴を明らかにしています.また設計図面は,その希少的価値が認められ,2019年度より土木学会附属土木図書館 図面・史料アーカイブスにて,デジタル史料として閲覧できるようになっています.
現在は,首都高速道路や阪神高速道路をはじめとする都市高速道路の計画・デザイン思想を明らかにすべく,日本学術振興会 科学研究費 基盤研究(C)「戦後日本における都市高速道路の計画・デザイン論の構築に向けた歴史的研究」(2023.04-2026.03,研究代表者:小澤 広直)による研究を進めています.またこの研究と関連して,文化庁と土木学会の共同体制により実施されている「文化庁 近現代建造物緊急重点調査(土木)」へ参画し,第二次世界大戦後に建設された土木施設の歴史・文化的価値に関する議論と評価手法の構築,関連する国土・都市・交通計画や政策の把握と整理,対象施設の現況調査に取り組んでいます.
主な研究業績・関連リンク(クリックにて詳細表示)
- 文化庁 近現代建造物緊急重点調査事業(土木)[LINK]
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「土木学会 土木史委員会 戦後土木施設の歴史・文化的価値に関する調査小委員会」が文化庁より受託して進めている調査事業です. - 戦後土木施設としての道路施設の歴史・文化的価値に関する調査の成果と課題
-文化庁 近現代建造物緊急重点調査(土木)報告書 道路編の発刊にあたり- -
小澤 広直,紅林 章央,橋本 政子,佐々木 葉|土木史研究講演集,Vol.45,pp.195-206,2025. - 都市計画家 町田保の経歴と仕事[LINK]
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小澤 広直,佐々木 葉|土木学会論文集D2(土木史),Vol.77,pp.38-52,2021. - 大阪市営電気軌道事業における橋梁デザインの思想と特徴に関する研究[LINK]
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小澤 広直,佐々木 葉,松村 博,黒山 泰弘|土木学会論文集D2(土木史),Vol.76,pp.131-149,2020. - 首都高速道路の路線網計画および構造物設計の思想と手法に関する通史的考察[LINK]
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小澤 広直,佐々木 葉|土木史研究講演集,Vol.39,pp.69-80,2019.
土木デザイン論
近現代の土木構造物や公共空間のデザインについて,そのデザイン手法の深化や評価方法の体系化に向けた研究に取り組んでいます.
土木学会では,2001年度から景観・デザイン委員会主催の「土木学会デザイン賞」という顕彰制度が開始されています.この制度では,計画・設計技術,制度活用,組織活動の創意工夫によって周辺環境や地域と一体となった景観の創造や保全を実現した作品及びそれらの実現に貢献した関係者や関係組織への顕彰を行っています.
現在は,土木学会デザイン賞の受賞作品を広く知ってもらうための「土木学会デザイン賞受賞作品マップ」の制作・公開を行い,土木学会土木広報センターとも連携しながら,その普及活動を行っています.また研究では,受賞作品への審査員講評文の分析による土木デザインの評価構造の解明に取り組んでいます.
主な研究業績・関連リンク(クリックにて詳細表示)
- 土木学会デザイン賞受賞作品マップ[LINK]
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土木学会デザイン賞を受賞した全250作品をプロットしたマップです.小澤が作成,公開,更新しています. - 土木学会デザイン賞における高速道路施設のデザイン評価分析
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小澤 広直|土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.79,論文番号:IV-76,2024.
災害復興デザイン論
現代の日本は,地震や洪水をはじめとする大規模災害が増加・激甚化し,人々が暮らす都市・地域そのものや生活環境が脅かされる事態が多く生じています.そのような社会情勢においては,災害復興における計画・デザイン手法の構築と体系化が求められています.
例えば,新潟県長岡市は,2004年10月23日に発生した新潟県中越地震(新潟県中越大震災)によって,土砂災害,河川閉塞,集落孤立,全村避難など多くの被害を受けましたが,行政・被災者・中間支援組織の「三極構造」による復旧・復興支援体制の構築や,復興基金や地域復興支援員などの制度の活用が速やかに行われ,復旧・復興を進めることができました.
このような災害復興デザインのあるべき姿を明らかにすべく,(公社)中越防災安全推進機構による中越大震災20年プロジェクト((一社)北陸地域づくり協会 研究助成「新潟県中越大震災から20年のアフター復興プロセス研究」(2024.04-2025.03)及び「中越大震災からの復興プロセスを学ぶプログラム開発及び実証実験」(2025.04-2026.03))へ参画し,中越地方の復興プロセスの解明に取り組んでいます.
主な研究業績・関連リンク(クリックにて詳細表示)
- 新潟県中越大震災20年プロジェクト[LINK]
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2004年の新潟県中越地震から20年を契機として,(公社)中越防災安全推進機構にて取り組んだプロジェクトです. - 2004年新潟県中越地震を対象とした復興デザイン研究のリスト化と動向
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小澤 広直|景観・デザイン研究講演集,No.20,pp.252-255,2024.