五十嵐 澪 本研究は,スマートフォンを用いた新たな市民参加型公共構造物の点検システムの構築と試行を目的とした.昨年度の機能に加えて,今年度は投稿方法の改良やAndroid端末対応,チュートリアル等の新機能の追加を行い,積極的な投稿をしてもらえるシステムの構築に努めた.学校内と長岡駅周辺で1ヶ月ほど試行を行い,改良の有効性の検討を行った.結果として,計32箇所の損傷箇所の情報がよせられた.確認を行ったところ,すべての損傷箇所を確認できた.改良した点の効果は様々であったが,ある程度の可能性を確認できた.
Key Words: スマートフォン,公共構造物,市民参加型,コミュニティサイト
品川 彰 本研究では,国道404号長岡東西道路において既存コンクリート構造物の表層品質の調査を行った.表面吸水試験装置(SWAT)と目視評価法を用いて測定を行い,比較検討を行った.その結果,表面吸水試験装置では雨がかりの有無,施工時期,気温,締め付けボルト,測定箇所による表面吸水速度の違いが考えられた.目視評価法では表層品質に大きな違いがあるものに関して効果があると思われた.
Key Words: 表層品質,コンクリート,表面吸水試験装置,目視評価法
土田 大嗣 本研究では,効率的な橋梁の維持管理の手法として,タブレット端末を用いた橋梁点検および調書閲覧システムの2つの開発を行った.日本における橋梁点検システムは,平成26年国土交通省道路橋定期点検要領に準拠している.キルギス国における調書閲覧システムは,国が管理する橋梁約1100橋とトンネル5本を対象として作成し,さらにシステム内には優先的に管理を必要とする橋梁の抽出と簡易的な点検の画面を作成した.
Key Words:タブレット端末,橋梁点検システム,道路橋定期点検要領,調書閲覧システム
丸山 純 本研究では,新潟県内における市町村管理の橋梁9893橋を対象に,橋梁定期点検結果からその傾向を分析した.対象とした橋梁の約8割が15m未満の小規模橋梁であり,橋種別に見るとコンクリート橋の割合が高く,対象橋梁の半数以上が架設年代不明の橋梁であった.また,主要部材最悪値に着目すると,比較的健全な橋梁が多いが,補修を必要とする橋梁も3割近く存在することが分かった.加えて,全橋梁の8割以上で概略点検システムが利用できる可能性があることが判明した.
Key Words:橋梁点検,橋梁諸元,橋種,架設年代,主要部材最悪値,概略点検システム
渡邉 吉康 本研究では,過去に建設されたトンネルのうち,比較的新しいにも関わらず多くの損傷が確認されるトンネルについて,その原因を調査した.その結果,損傷のうち比較的深刻なものの多くは「うき」であり,その多くは天井付近に発生していることが判明した.これらの結果から,トンネルの損傷には経年劣化が原因のものだけではなく,施工時の不具合が原因のものが存在し,施工時の不具合が深刻な損傷の発生につながり得ることが分かった.
Key Words:山岳道路トンネル,NATM,点検調書,スパン,初期不良
小川 朝水 本研究は,スマートフォンを用いた新たな市民参加型公共構造物の点検システムの構築と試行を目的とした.登録制コミュニティサイトを構築し,主に写真とコメントを用いて情報提供をしてもらう.位置情報の入力を必須とし,情報の信憑性を確認している.学生の協力を得て学校内で1ヶ月程の試行を行い,サイトの有効性の検討を行った.結果として,学生20名が登録し,24箇所の損傷箇所の情報がよせられた.情報を元に確認作業を行った結果すべての損傷箇所を確認することができ,ある程度の有効性が確認できた.情報の収集方法として有効であると思われる.
Key Words: スマートフォン,公共構造物,点検,市民参加型,コミュニティサイト
小野口 文華 本研究は,80年間供用された大河津分水旧可動堰の堰柱について損傷状況調査を行い,各堰柱の劣化状況を把握することを目的とした.解体時に撮影された堰柱の写真を補正したものから損傷図を作成し,各堰柱の比較と損傷傾向の把握・検討を行った.その結果,施工時の不良から発生したと思われる損傷や,内部鉄骨などの影響を受けていると思われる損傷が確認できた.また,平成14年度の資料と損傷の比較を行った結果,進行している損傷を確認することができた.
Key Words: 可動堰,堰柱,コンクリート,損傷図,損傷原因
佐々木 悠祐 本研究では,昨年度行った概略点検の実地調査において明らかになった間接目視器具の問題の解決と,その改良を含めた概略点検システムの有効性を検討するための別の自治体での実地調査を行った.改良した間接目視器具を用いて,昨年度目視不可となった橋梁19橋を対象に行った再調査では,19橋中17橋で間接目視が可能となった.また,別の自治体で行った新たな点検では,間接目視を行った全ての橋梁で間接目視可能となり,点検結果として,42橋中3橋で詳細点検が必要となり,39橋は詳細点検が不要という結果となった.
Key Words:タブレット端末,橋梁概略点検システム,間接目視,実地調査,詳細点検
山崎 周 本研究では,北陸地方の道路管理者が管理する橋梁の劣化傾向の分析を目的とした.平成16〜23年度の間に2度点検を実施した新潟県内の橋梁252橋を対象とし,劣化要因と損傷の進行状況の分析を行った.橋種別に検討を行った結果,鋼橋では材料劣化が損傷要因として多く,コンクリート橋では防水・排水工不良が多かった.またそれぞれの損傷における進行状況に違いが見られ,特にコンクリート橋におけるうきは新規の損傷として発生する割合が高いことが分かった.
Key Words:橋梁点検,橋種,劣化要因,劣化進行状況
沢木 逸人 本研究は,新たな点検手法である概略点検システムを用いて,ある自治体の全163橋の管理橋を対象として概略点検を行い,有用性の検討・分析を行った.結果として,7分以内に89%の径間の点検を終了することができ,また,床版下面の間接目視手法として一脚とデジカメを用い,72%の径間が間接目視有効であり、残りの径間は目視不可として評価した.写真と点検項目の結果より,構造物に大きな影響を及ぼす損傷がある径間を抽出し,結果として,163橋中16橋が詳細な点検が必要、8橋が再調査となり,139橋は詳細点検が不要という結果になった.
Key Words: タブレット端末,概略点検システム,間接目視,点検項目,詳細点検
町永 千宙 本研究は,80年間供用されていた大河津分水旧可動堰に架かる管理橋について損傷および配筋調査を行い,腐食および劣化状況を把握することを目的とした.撮影した管理橋底面部の写真から損傷図を作成し,径間ごとの比較と特徴や傾向の把握を行った.その結果,内部の鉄骨や鉄筋などの影響を受けていると思われる損傷が規則的に確認できた.また過去の資料より管理橋底面の主な損傷原因,損傷比較による損傷の進行についても確認することができた.
Key Words: 鉄筋鉄骨コンクリート橋,配筋,腐食,損傷図,損傷原因
鷲尾 洋平 本研究では,北陸地方整備局が管理する橋梁について損傷傾向の検討を目的とした.平成16〜23年度の間に2度実施された点検の結果から,損傷状況と補修状況の分析を行った.対象橋梁の損傷評価の経過について,いくつかの損傷の変化パターンを検討し,1巡目点検における損傷は,高い確率で2巡目点検に損傷の進行が見られ,損傷箇所数は2巡目点検における新たな損傷が大きい割合となった.補修が実施された橋梁において,補修箇所の再劣化はあまり見られなかった.
Key Words:損傷傾向,維持管理,損傷パターン,1巡目点検,2巡目点検
河村 貴志 塩害により劣化したプレストレストコンクリートのはり桁に荷重が加わった際,どのような挙動を示すかを把握することは重要である.本研究では,FEM解析ソフトウェアOpenSeesを用いてファイバーモデルを作成し,既往の実験結果と解析結果の比較を行った.結果として,鋼材の腐食による断面積の減少,破断が耐力にどのように影響が出るかを確認した.また,実験の途中の鋼材破断を考慮することで,その挙動をおおよそ再現することができた.
Key Words: プレストレストコンクリート歩道橋,塩害,FEM解析,ファイバーモデル,PC鋼材
駒形 亮 本研究では,塩害環境下に約35年晒され,塩害劣化した2本のプレストレストコンクリート(PC)歩道橋桁を対象として,昨年度行った外観調査と,PC鋼材腐食量調査および残存状況調査結果より,ひび割れ分布の考察を行った.結果として,ハンチ部のひび割れ面積と面に近い区分けの鋼材腐食率との間で比較的高い相関性を確認し,鋼材消失長から算出した消失率についてもひび割れ面積との間である程度の相関性を確認した.また,いくつかの鋼材再区分けを行った結果,従来の区分けよりも高めの相関性を示す区分けが存在した.
Key Words: 塩害,プレストレストコンクリート橋,ひび割れ,PC鋼材,腐食
中川 裕介 建設地点に応じた耐震設計,耐震補強の優先順位の明確化を目的として,本研究では,新潟県内27都市を対象に,対象地点における地震波を作成し,地震応答解析の結果から損傷度の算定と比較を行った.結果として,損傷度の値は地盤特性の影響が大きく,元にした地震波の影響は少なかった.また加速度応答スペクトルの卓越周期が0.2秒付近に集中しているものは損傷度が大きくなることがわかった.東日本17都市において検討した結果も同様の結果が得られ,補強効果の大きい都市の耐震補強を進めるべきと考えられる.
Key Words: RC橋脚,耐震設計,塑性率,加速度応答スペクトル,地盤特性
中島 健人 本研究は北陸地方整備局が維持管理する橋梁のうちの平成16〜22年度の間に2度点検が実施された311橋を対象に,劣化・損傷状況及び経年変化を把握することを目的とし,データベースへの入力を行った.構成割合としては 1960年代以前に架設された橋梁の割合が全体的に多かったが,合計点数の検討結果から1950〜60年代の橋梁は損傷割合が比較的少なかった.また,変化点数と変化率の検討から1960年代以前の橋梁では劣化の進行があまり見られず,1970年代や1980年代の橋梁で他の年代より劣化が急激に進行していることがわかった.
Key Words: 橋梁,データベース,維持管理,劣化・損傷状況,経年変化
庭山 雄太郎 本研究では,タブレット端末を使用して入出力が可能な,橋梁点検データを蓄積できるデータベースを構築し,それと並行して既往の橋梁簡易点検調書をサンプルデータとして入力した.新潟県内の130橋のサンプルデータを基に,損傷特性の分析及び考察を行った結果,橋梁の上部工では,剥離・鉄筋露出が多く,下部工では,高欄・防護柵・地覆の損傷や排水施設への損傷が多かった.全体として,いくつか損傷の多い橋梁があるが,対象とした中では大きな問題の起こるようなものはなかった.
Key Words: タブレット端末,橋梁点検データベース,点検調書,道路橋,損傷特性
赤原 健太 本研究は,拡大縮小した多数の地震波を用いて,地震入力総エネルギーおよび地震入力単位エネルギーの算定を行った.また,降伏後の剛性の有無で異なる2種類の等価吸収エネルギーを用い,各エネルギースペクトルの関係から推定したエネルギー吸収量と弾塑性地震応答解析結果を比較した.推定法の適用範囲を検討した結果,地震動が明確な卓越周期をもち,その卓越周期が比較的小さな場合,RC橋脚の地震時における吸収エネルギー量が推定することができた.
Key Words: 地震入力総エネルギー,地震入力単位エネルギー,等価吸収エネルギー,エネルギースペクトル,弾塑性地震応答解析
佐藤 駿介 塩害環境下に約35年晒され,塩害劣化した2本のPC歩道橋桁を対象として,曲げ載荷試験を行った結果,海側のA桁はせん断破壊し,山側のB桁では設計とは異なった曲げ破壊が生じて鋼材が全面的に破断した.また,解体した桁から取り出した鋼材の腐食量を測定し,引張試験を行った結果,腐食した鋼材は降伏応力と引張強度がほぼ等しい結果となり,伸び率の大幅な低下が確認された.また,桁の破壊荷重と破壊部近傍の鋼材の腐食量の相関性を評価すると,破壊部周辺の鋼材は腐食による強度低下の影響が大きいと考えられ,破断が確認された鋼材は機能しないと仮定することにより,PC桁の耐力をある程度評価することが可能であった.
Key Words: 塩害劣化,PC桁,鋼材腐食,降伏応力,引張強度
山井 洋平 本研究は,地震応答解析には各地域の地盤と地震発生確率を考慮した地震波と,5種類のRC橋脚を使用し,地震応答解析の結果から損傷度の算定と比較,各地震波の加速度応答スペクトルを作成した.結果として,橋脚や地震波形の違いからの塑性率への影響はあまりなく,地盤特性の影響が大きかった.また加速度応答スペクトルの卓越周期が0.2秒付近に集中しているものは損傷度が大きく,周期が0に非常に近いものとスペクトルの波形が台地状になっているものは損傷度が小さくなることがわかった.
Key Words: 地震危険度,加速度応答スペクトル,卓越周期,地盤特性,損傷度
渡邉 政博 米国で実用化されているGFRP製歩道橋をもとに,2つの条件下でFEM解析による静的解析および歩行振動解析を行った.部材価格は,「建設物価」より算定し,また,許容応力は座屈軸力を基に設定した.全8種の部材を用いて許容応力およびたわみの条件を満たす力学的・経済的に優れた最適部材配置を探った結果,やや厳しい条件の場合,部材価格は73.0%に抑えられ,やや緩い条件では部材価格は53.2%に抑えられるモデルが最適となった.
Key Words: GFRP,FEM解析,静的解析,歩行振動解析,部材価格,最適部材配置
杉山 郁真 本研究は建設地点に応じた耐震設計,耐震補強の必要性を明確にすることを目的とした.各地域の地盤特性と発生確率を考慮した地震波を作成し,補強前と補強後の2種類の橋脚を地震応答解析し,損傷度の値を求めて比較した.結果として,加速度応答スペクトルの特性が1つの卓越周期を持つものは補強の効果が少なく,幅広い卓越周期を持つものは補強の効果が大きかった.このことから後者のタイプを持つ地域の橋脚を先に補強するのが効果的と判明した.
Key Words: 地震危険度,地盤特性,地震応答解析,損傷度,加速度応答スペクトル,卓越周期
大丸 歩 本研究では弾塑性地震応答解析を行わずに,地震入力エネルギーの特性に基づき構造物の損傷度を簡便に推測できる手法の構築を目的として,地震入力エネルギー及び等価吸収エネルギーの3者の解析を行った.各エネルギースペクトルより推測した値と弾塑性応答解析より得た値の比較を行い,スペクトルの卓越周期0.5秒以下の場合において,地震時の吸収エネルギー量を算定できた.
Key Words: 地震入力総エネルギー,地震入力単位エネルギー,投下吸収エネルギー,弾塑性応答地震応答解析,固有周期
バトジャルガル ソドビリグ 本研究は鉄筋コンクリートはりの静的載荷時の挙動を把握することを目的とした.ファイバーモデルを用いてはリモデルを作成し,FEM解析ソフトウェアにより静的解析を行って,既往の実験結果との比較を行った.また,劣化したはりにもソフトウェアが応用できるかどうかの検討も行った.結果として,健全なはりと劣化したはりの解析結果は降伏点までは実験結果をよく再現していたが,小さいはりと劣化したはりに対しては降伏後の解析がうまくいかない傾向が見られた.
Key Words: 有限要素解析,ファイバーモデル,鉄筋コンクリートはり,腐食劣化,静的解析
ウリヤ ハサナ 本研究では,FRPと従来から使用されている鋼材SS400を,単一素材および組み合わせたハイブリッドトラス橋を想定し,有限要素解析により静的解析を行った.実際に流通している材料の価格を「建設物価」から調べ,部材のコストの算定を行った.結果として,SS400 と比べてFRPの価格が非常に高いため,FRPが多量に使われている場合は経済的メリットはないが,部材の断面積を小さくすることによりかなりコストが抑えられることが分かった.
Key Words: FRP,ハイブリッドトラス橋,有限要素解析,静的解析,材料価格
久保田 雄太 本研究はRCラーメン構造の挙動を把握することを目的として,FEM解析ソフトウェアを用いた弾塑性応答解析を行った.解析にはファイバーモデルを用いてRC2層ラーメンを解析し,静的解析と動的解析を行い,既往の実験結果と比較検討を行った結果,実験結果よりも変位が小さい傾向がみられた.また,実在の新幹線高架橋のモデル化を行い,動的解析を行った.
Key Words: 有限要素解析,ファイバーモデル,RC2層ラーメン構造,静的解析,動的解析
白石 卓也 本研究は,コンクリート構造物の維持管理のためのデータベースを拡張するため,データベースで算定された結果を地図表示するための機能を作成した.具体的にはGoogle Maps APIとHTMLファイルを用いて,座標と算定結果の入力されたCSVファイルの内容を地図上に表示し結果の値によってマーカーの色を変えられるようにした.作例として新潟県ダムマップおよび塗膜劣化調査マップを作成し,地図上に表示することで,算定結果の値によるマーカーの色分けから劣化などの地域分布の把握が可能となることがわかった.
Key Words: コンクリート構造物,維持管理データベース,Google Maps API,HTMLファイル,CSVファイル
樋口 雄一 本研究は,webよりダウンロードした地震危険度のデータを基に,新潟県内の主要都市において地震動の各発生確率に対する最大速度の算定を行った.その結果,新潟県上越地方では今後50年間に20%の確率で新潟県中越地震で長岡で観測された大きさの地震が起きる可能性があることがわかった.また,この結果から各都市において予想されるRC橋脚の塑性率を地震応答解析によって算定し,被害の予測を行った.
Key Words: 地表面最大速度,超過確率,ハザードカーブ,地震応答解析,塑性率
平木 涼介 FRPを用いた単純桁構造は既に実用化されているが,長スパン構造のFRP橋実現は難しい.そこでスパンを拡大する方法としてトラス構造化を行い,FRP部材を用いたトラス構造の応答振動の抑制についての提案を目的とした.本研究ではトラス部材の剛性を高めるため,素材の変更と断面積を変更した後に,動的地震動解析を行い,振動特性を把握した.結果として,軸ひずみエネルギー比の高い部材に高剛性のCFRPを配置することで,振動を抑制することができることを確認した.
Key Words: FRP,トラス歩道橋, 動的FEM解析, 軸ひずみエネルギー
伊比 龍太郎 本研究では一般構造用圧延鋼材SS400と繊維強化プラスチックFRPを組み合わせた複合トラス橋を想定し,地震時における変形特性の把握を目的とした.FEM解析ソフトウェアOpenSeesを用いて動的解析を行い,既往のFORTRANプログラム結果との比較を行った.結果として,最大応答変位はOpenSeesの方が大きい値をとった.また,複合トラス橋にする事により既往のFORTRANプログラムの結果と同様に減衰する傾向がみられた.
Key Words: 繊維強化プラスチック FRP,複合トラス橋,FEM解析,地震応答解析 減衰
小田 孝太郎 地震が多発する我が国では,耐用期間内に起こる複数回の地震動により,どの程度損傷を受けるかを知る必要がある.そこで本研究では,RC橋脚が耐用期間後にどの程度損傷を受けるかを,地震危険度解析,弾塑性地震応答解析,損傷指標,損傷確率マトリクス,モンテカルロシミュレーションを用いて予測した.その結果,累積的な損傷に対する補強の効果は大きいこと,構造物の累積的な損傷を考慮する場合,算定地点別であっても,耐用期間と同等の再現期間を有する1回の地震動の,2倍前後の地震動強さを考慮する必要があることがわかった.
Key Words: 損傷指標,弾塑性地震応答解析,損傷確率マトリクス モンテカルロシミュレーション
笠原 崇佑 新潟県では沿岸地域が広く,また季節風等の影響により,塩害被害が深刻化している.そこで,本研究では,鉄筋コンクリート構造物の維持管理に有効と考えられるデータベースを作成した.構造物の諸元ごとに項目を設定し,さらに関連する項目及び検索表示・入力項目を決定し,基本的な機能を持つデータベースの構築を行った.また,塩害の危険度を判定する機能を作成し,サンプルデータを用いて危険度の評価を行った.
Key Words: 鉄筋コンクリート構造物,維持管理,塩害,データベース,危険度判定
渡辺 啓太 1995年の兵庫県南部地震以降,土木構造物の耐震設計において動的解析が重要視されている.そこで本研究は鉄筋コンクリート柱を解析し,静的載荷時と地震時の挙動を把握することを目的とした.FEM解析ソフトウェアOpenSeesを用いてファイバーモデルを作成し,静的解析と動的解析を行い,既往の実験結果との比較を行った.結果として,解析結果は静的解析および動的解析ともによく実験値を表現していたが,動的解析の応答加速度などで実験値との差がみられた.
Key Words: 有限要素解析,ファイバーモデル,鉄筋コンクリート柱,静的解析,動的解析
荒川 岳 本研究では一般構造用圧延鋼材SS400と炭素繊維強化プラスチックCFRP及びガラス繊維強化プラスチックGFRPを組み合わせたハイブリッドトラス橋を想定し,地震時における変形特性の把握を目的とした.有限要素解析を用いて応答変位を算定して検討を行った結果,FRPを配したハイブリッド橋ではSS400単一橋に比べて最大応答変位は同程度であったが,大きな減衰が確認された.
Key Words: 繊維強化プラスチック,ハイブリッドトラス橋,動的解析,最大応答変位,減衰
稲田 匠吾 わが国では地震が多発し,構造物が複数回の地震動を受けてどの程度の損傷を受けるかを知ることは重要である.本研究ではRC 構造物の耐用期間後の損傷状態の予測を,弾塑性地震応答解析,モンテカルロシミュレーション,地震危険度解析,損傷指標および損傷確率マトリクスを用いて算定することを試みた.その結果,橋脚によって累積損傷の影響に差はあるが,おおむね耐用年数の5~10 倍の再現期間をもつ1 回の地震動を考慮すればその期間の累積損傷を考慮できることがわかった.
Key Words: 弾塑性地震応答解析,モンテカルロシミュレーション,損傷指標,損傷確率マトリクス
込山 晃市 現在,コンクリート構造物の研究は独自に行われており,結果が断片的に集約されているため,耐久性照査を行うことは難しい.本研究ではデータの有効利用と比較・検討を行うための塩害データベース構築のための基礎的検討を行うことにし,コンクリートが持つ特性ごとにパラメータを設定,関連項目の決定を行い,基本的な機能を持つデータベースの構築を行った.
Key Words: 鉄筋コンクリート,維持管理,塩害,データベース
長谷川 喬 平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震は,長岡市や長岡高専をはじめとして,中越地方に甚大な被害をもたらした.本研究では,地震時に入力されるエネルギーのうち,ある単位時間に入力される地震入力単位エネルギーと,構造物の等価吸収エネルギーの両者に基づき簡便に土木構造物の被害程度を算定する手法の精度の検討を行った.結果として,エネルギースペクトルの卓越周期0.2〜0.4秒の場合と,等価吸収エネルギー直線の傾きが,おおむね89以上の橋脚の場合に推定値の精度が高い結果が得られた.
Key Words: RC橋脚,地震時被害算定指標,地震入力単位エネルギー,等価吸収エネルギー,卓越周期,弾塑性応答解析
平山 貴士 冬季の積雪地域では構造物に積雪荷重が発生し,地震時における被害を増大させることが予想される.本研究では2 階建て木造住宅を1 質点系モデルとして,地震応答解析を行い,構造物に発生する積雪荷重P と地震による水平変位凾ノよる力のモーメント(P・剏果)について検討を行った.また,地震によって発生する力とその住宅が耐えうる力である保有耐力を比較し,倒壊の危険性を検討した.結果として,固有周期が長くなる古い住宅ではP・剏果による影響を大きく受け,倒壊する危険性が高くなることがわかった.
Key Words: P・剏果, 積雪荷重, 木造住宅, 地震応答解析
大森 友博 本研究では,一般構造用圧延鋼材SS400とガラス繊維強化プラスチックGFRPの2種類の素材を用いたハイブリッドトラスに対して,3種類の地震波データを入力し,応答加速度・応答変位を算出して地震時の振動特性についての検討を有限要素解析プログラムを用いて行った。結果として,入力する地震波や素材の配置パターンによって違いがあるが,どの地震波を使用した場合もハイブリッドトラスの方で応答加速度・応答変位ともに有利な値をとった。
Key Words: ガラス繊維強化プラスチックGFRP,ハイブリッドトラス,地震応答解析,応答加速度, 応答変位
小山 将輝 本研究では弾塑性応答解析を行わずに構造物の被害程度を簡便に推測する手法を構築する基本的検討として,有限要素解析ソフトウェアSAP2000を用いて弾塑性応答解析を行うことを目的とした。今回検討した解析モデルは四角形断面とし,新潟県中越地震波を用いて,地震波を入力した際の着目点を中心部の先端として時刻歴応答解析を行った。結果として,K-NET長岡支所の応答加速度はK-NET長岡に比べて約2.5倍の応答がみられた。
Key Words: 弾塑性応答解析,有限要素解析,地震入力単位エネルギー,応答加速度,時刻歴応答解析
佐藤みどり 本研究は,2004年新潟県中越地震とそれ以降2005年までに全国各地で起きた地震を対象として,その地震動特性をさまざまな指標を用いて解析した。指標としては,震度相当値,地震入力単位エネルギー,加速度応答スペクトル,最大加速度,最大速度,最大変位を用いた。震度が地震による被害の程度を表すものと仮定し,それぞれの指標と震度との関係についても検討した。解析した結果,低層の建造物への破壊力は,3つの波形で大きな値を示し,中層以上の建造物への破壊力は中越地震の小千谷が圧倒的に大きいことがわかった。また,破壊力を表す指標としては,5つの指標の中で地震入力単位エネルギーが震度と最も高い相関を示した。
Key Words: 地震入力単位エネルギー,震度相当値,加速度応答スペクトル,最大加速度,最大速度,最大変位,相関係数
白田 幸忠 トラックスケールとは車両の重量を測定する装置であるが,構造部材の最適な配置は未だ明らかになっていない。本研究では,コスト削減や省スペース化を目的とし,トラックスケールの構造部分を格子桁構造と考え,格子桁理論のLeonhardt法を用いて荷重分配係数の算定を行い,部材の許容応力度も検討に入れて,最適な構造部材配置の検討を行った。その結果,主桁を6本,横桁を2本とした場合が最適な配置であることが判明した。
Key Words: トラックスケール,格子桁理論,Leonhardt法,荷重分配係数,曲げ引張応力度
齋藤 明幸 近年,建設新素材として繊維強化プラスチック(FRP)が注目されてきているが,FRP製橋梁の地震応答特性は十分に把握されていないのが現状である。本研究では,FRPと従来の素材である鋼材SS400を組み合わせたハイブリッドトラスの地震応答特性を把握することを目的とした。今回は,ガラス繊維強化プラスチックGFRPとSS400を組み合わせた2パターンのハイブリッドトラスと,比較対象として用いるためにSS400単一素材の橋梁について,5つの地震波を用いて動的有限要素解析を行い,応答加速度・応答変位を算定した。結果として,ハイブリッドトラスの1パターンが全体的に有利な値を示したが,1つの地震波においては結果の値が他の地震波とは異なった傾向で見受けられた。以上のことから,橋梁の応答特性は素材配置や構造パラメータに加え,地震波ごとの特性にも依存しているものと考えられる。
Key Words: 繊維強化プラスチック(FRP),ハイブリッドトラス,有限要素解析,応答加速度,応答変位
前田祥吾 高強度RC はりを使用することは非常に有用であるが,その力学的特性についてはこれまで十分に解明されていない。本研究では高強度RC 部材のせん断強度,およびそのせん断特性を明らかにすることを念頭に置き,その前段階として高強度領域における既往のせん断強度算定式の評価を行った。検討に用いた供試体は,せん断補強鉄筋のない高強度RC はりのせん断実験結果より,斜め引張破壊した供試体のみに限定して全53 体を収集した。検討を行った式は,JSCE 式,鈴木式,岡本式,ACI 式,CEB 式,およびMCFT である。結果として,JSCE 式,鈴木式,CEB 式,MCFT が同程度の算定精度でせん断強度を評価した。また,高強度RC はりにおいては,圧縮強度の増加に対し,せん断強度は増加しなかった。加えて高強度RC はりの有効高さは,普通強度RC はりよりも顕著に表れた。
Key Words: 高強度鉄筋RC はり,圧縮強度,せん断強度,斜め引張破壊,回帰式
松岡 徹 新潟県中越地震において,長岡市をはじめとする中越地区は甚大な被害が生じた。このような大地震による土木構造物の被害を推定するために,地震動の破壊力指標について検討することは非常に重要である。そこで本研究では新潟県中越地震の本震と余震および過去の地震波について,長岡市街地と悠久山での2つの観測点での地震波に対して加速度応答スペクトルや,地震動の継続時間にわたって構造物に入力されるある地震入力総エネルギー,単位時間に入力される地震入力単位エネルギー等の様々な指標を用いて地震動の特性について比較・検討を行った。本研究の解析結果から,長岡高専付近では低層の住宅やビルに対して兵庫県南部地震と同程度の破壊力であったことが推測でき,市街地に比べて悠久山や長岡高専付近のほうが地震の破壊力大きかったことがわかった。
Key Words: 破壊力指標,加速度応答スペクトル,地震入力総エネルギー,地震入力単位エネルギー,震度相当値
丸山泰明 トラックスケールとは車の重量を測る計量装置である。このトラックスケールにはピット式・ピットレス式の2 種類があり,このうち,ピットレス式は設置のための施工費が安いことから,近年,需要が高まっているが,桁の高さに関する制約が厳しい。そのため,本研究ではこのピットレス式のトラックスケールのコスト削減を目的とした。トラックスケールの構造部分は格子桁構造であり,主桁と横桁により荷重を分配する。この分配する係数を求める方法として,Leonhardt法,Homberg法,Guyon-Massonnet法があり,本研究ではこの3法を用いた。対象とするモデルは主桁が6 本・横桁が6 本のものである。この対象モデルの寸法を変化させて,最適な部材配置を検討した。その結果,3法の計算結果には若干の違いがあり,構造の横桁の本数は,荷重分配係数にあまり影響しないことが分かった。
Key Words: トラックスケール,格子桁理論,Leonhardt 法,Homberg 法,Guyon-Massonnet 法
坂上 大輔 本研究では,FRPと従来から使用されている鋼材SS400とを組み合わせたハイブリッドトラス橋を想定し,有限要素解析により静的解析を行い,素材配置とスパン及びトラス高さの違いによる変形及びコスト換算重量の把握を行った。特にFRPの素材配置に着目し,上下弦材をSS400,鉛直材と斜材をFRPとした場合について検討を行った。結果として,短いスパンでは,ハイブリッドに比べSS400単一のトラスがコスト的にみて若干有利であった。また,スパンが長くなると自重の影響が小さいFRPが有利になる傾向がみられ,スパンが50mよりも長い場合では弦材にSS400,腹材に炭素繊維強化プラスチックCFRPを組み合わせた物が,トラス高さによって,従来のものより低コストになるものがあることが分かった。
Key Words: FRP,ハイブリッドトラス,有限要素解析,静的解析,コスト換算重量,たわみ
高津 惣太 地震の頻発する我が国では,構造物が耐用期間内に複数回の地震動を受けることを考慮する必要がある。そこで本研究は,RC構造物が耐用期間にわたり,複数回の地震動によってどのような損傷を受けるかを,地震危険度解析,曲げとせん断2つの損傷指標,1質点系のモデルを用いた地震応答解析および,モンテカルロシミュレーションを用いて作成した損傷確率マトリクスを用いて算定地点における耐用期間後の損傷状態を予測した。その結果,耐用期間後の損傷度の期待値は,各算定地点および算定地震波により大きく異なり,構造物の設計には,累積的な損傷まで考慮して行わなければならないという結果が得られた。
Key Words:RC構造物,地震危険度解析,損傷指標,地震応答解析,モンテカルロシミュレーション,損傷確率マトリクス
多田 一也 近年,建設新素材である繊維強化プラスチック(FRP)を用いた橋の研究が盛んに行われているが,現状ではFRP製橋梁の動的振動特性はまだ十分な把握がされていない。そこで,本研究では,FRPと鋼材SS400を組み合わせ,経済的・動力学的に優れたハイブリッドトラス橋の提案を行うことを目的とした。今回は,SS400単一トラスとGFRPを用いたハイブリッドトラスとで動的解析を行い,応答加速度,応答変位を比較検討した。結果として,SS400単一トラスとハイブリッドトラスでは主に変位の点で違いが見られ,ハイブリッドトラスの方が減衰が大きく,また,入力地震波による応答の違いが顕著に見られた。
Key Words: 繊維強化プラスチック(FRP),ハイブリッドトラス,動的解析,応答加速度,応答変位
外山 拓道 地震時において,どのような地震動特性が構造物の被害に対して支配的であるか,すなわち地震動の破壊力指標を検討することは重要である。そこで本研究では,地震動から構造物の破壊に至るエネルギーの授受関係に着目し,ある単位時間に相当する地震入力単位エネルギーと,地震動の破壊指標との相関性について比較・検討を行った。本研究の結果より,破壊指標の一つであるスペクトル強度SIは地震入力単位エネルギーと特に高い相関性を示し,破壊指標として地震入力単位エネルギーを考慮する際,単位時間として1サイクルおよび1/4サイクルを使うのが有用であることがわかった。
Key Words: 破壊指標,地震入力単位エネルギー,地震波特性,スペクトル強度(SI),相関性
大塚 洋一 本研究では,RC構造物の損傷程度を定量的に評価する損傷指標が,RC構造物の損傷程度の定量化に関してどの程度有効であるかの比較検討を行った。結果として,対象構造物に実地震波を入力した場合,塑性率,剛性劣化率,累積塑性率,標準化した消費エネルギー量の4者相互間に高い相関が見られた。しかし,正負交番載荷の場合は,地震時の構造物の損傷度を再現に適応可能であるかの判断は今回の解析のみでは難しいと考えられた。また,Parkらの提案した損傷指標は,交番載荷に限れば,構造物の被害を表す指標として必ずしも適しているわけではないと考えられた。
Key Words: RC橋脚,損傷指標,被害程度,地震応答解析,正負交番載荷解析
橋本 雅行 本研究では,繊維強化プラスチックFRPと従来から使用されている鋼材SS400とを組み合わせたハイブリッドトラス橋を想定し,有限要素解析により静的解析を行い,たわみやコスト換算重量の把握を行った。特にたわみ制限の値に着目し,この値が全体の変形やコストにどのような影響を与えるのかの評価を行った。結果として,たわみ制限を考慮した場合,SS400の使用割合が多い方がたわみを抑えられるため,コスト面からみても有利であった。しかし,スパンが長くなると自重の影響が小さいFRPが有利になる傾向がみられ,スパン200mでたわみ制限L/100の場合,ガラス繊維プラスチックGFRPと鋼材SS400を組み合わせたものが,従来のものよりも低コストになることがわかった。
Key Words: FRP,ハイブリッドトラス,有限要素解析,静的解析,コスト換算重量,たわみ制限
松田 音羽 本研究では、地震動の継続時間にわたって構造物に入力される地震入力総エネルギーと,ある単位時間に入力される地震入力単位エネルギー,および構造物の等価吸収エネルギーの3者に基づいて,簡便に土木構造物の被害程度を推定する手法の精度の検討を行った。解析結果より,地震波のエネルギースペクトルの形状により推定の精度にばらつきがあることがわかった。また,構造物の等価周期の限界点として,鉄筋コンクリート部材のじん性率算定式に基づいた等価周期を考慮するのが妥当だと考えられた。
key words: 鉄筋コンクリート橋脚,耐震設計,地震入力総エネルギー,地震入力単位エネルギー,等価吸収エネルギー,エネルギースペクトル
松縄 有希 本研究では,繊維強化プラスチックFRPと従来から使用されている鋼材SS400とを組み合わせたハイブリッドトラス橋を想定し,有限要素解析により静的解析を行い,たわみやコスト換算重量の把握を行った。特にたわみ制限の値に着目し,この値が全体の変形やコストにどのような影響を与えるのかの評価を行った。結果として,たわみ制限を考慮した場合,SS400の使用割合が多い方がたわみを抑えられるため,コスト面からみても有利であった。しかし,スパンが長くなると自重の影響が小さいFRPが有利になる傾向がみられ,スパン200mでたわみ制限L/100の場合,ガラス繊維プラスチックGFRPと鋼材SS400を組み合わせたものが,従来のものよりも低コストになることがわかった。
Key Words: FRP,ハイブリッドトラス,有限要素解析,静的解析,コスト換算重量,たわみ制限
大久保 美里 三村 八一 地震時における土木構造物の被害を推測することは,耐震工学的に非常に重要である.そこで本研究では,地震時の構造物の被害を検討するため,各地震波の地震入力総エネルギー及び地震入力単位エネルギーの両者に注目して傾向を調べ,さらに地震波や構造物の様々な特性がそれぞれどのような相関にあるかを検討し,弾塑性応答解析を行わずに地震時のRC橋脚の被害を簡便に推定する方法を検討した.本研究の結果より,弾塑性応答解析よりは精度は落ちるものの,容易にRC橋脚の損傷程度を推定する手法が得られた.
【keywords】RC橋脚,地震波特性,地震入力エネルギー,弾塑性応答,静的エネルギー
木村 道生 本研究では,繊維強化プラスチックFRPと従来から使用されている建設素材とを組み合わせたハイブリッド構造を,有限要素法を用いて静的解析を行い,これによりたわみ,固有周期,コスト換算重量を求めた.ハイブリッド構造は組み合わせた素材の中間的な値を示した.また,短スパンでは従来の建設素材を主とした組み合わせが低コストであったが,長スパンにおいてはFRPを主とした場合の組み合わせが比較的低コストな結果となり,中でもガラス繊維複合材GFRPと鋼材SS400を組み合わせたものが,従来よりも低コストが可能となることがわかった.
【key words】有限要素解析,FRP,たわみ,固有周期,コスト換算重量,静的解析,ハイブリッド構造
渡邉 正俊 近年,建設新素材として繊維強化プラスチックFRPが注目されてきており,例えば沖縄県において歩道橋への試験施工が実際に行われた.また,兵庫県南部地震を契機に耐震設計において動的応答解析による設計の検証が重要視されてきている.本研究では,有限要素法を用いてFRPと従来から使用されてきた建設材料と組み合わせて,ハイブリッドトラスを造ったときの動的解析プログラムの開発を目指した.結果として現段階では,模擬データでの結果を出力できた.
【key words】繊維強化プラスチック(FRP),有限要素法,ハイブリッドトラス,動的解析プログラム
池津 和弘 西澤 成江 土木構造物の設計時における被害程度の正確な予測や、被災後の迅速な被害評価のためにも、構造物の損傷度を簡便に推定できる手法を構築することは非常に有用である。本研究では、まず地震動の継続時間にわたる地震入力総エネルギーと、ある単位時間に相当する地震入力単位エネルギーの両者に着目し、構造物の等価吸収エネルギーの考え方を取り入れた。それにより、弾塑性応答解析を行うことなく弾性系の解析から、RC橋脚の損傷程度を推定する方法の構築を行った。本研究の推定方法により、いくつかの課題は残るものの、弾性系から弾塑性応答の推定は十分可能であるという結果が得られた。
【Keywords】RC橋脚,耐震設計,地震入力エネルギー,エネルギースペクトル, 等価吸収エネルギー
酒井 大輔 藤田 徹 近年、建設業界の間では建設新素材としてガラス繊維複合材GFRPが注目されている。本研究では、GFRPと従来から使用されてきた建設材料とを組み合わせてハイブリッド橋梁を造ったときのたわみ、固有周期の傾向を有限要素解析により解析した。その結果、組み合わせた材料の中間的な特性を示すことがわかった。また、構造物の建設経費削減、低コスト構造物の建設が求められるようになってきていることからコストについての解析も行った。その結果、鋼材SS400とガラス繊維複合材GFRPを組み合わせてハイブリッド橋梁を造ったときのコストは、従来のものよりも低減が可能になることがわかった。
【keywords】有限要素解析,ハイブリッド構造,コスト換算重量,たわみ,固有周期